レジェンド!

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~葛西紀明選手と下川ジャンプ少年団ものがたり~

この本は葛西紀明選手の伝記です。それにプラスして葛西選手が育った下川町と下川ジャンプ少年団の話です。

凄い深い所まで取材されていて葛西選手の少年時代の貧乏な話(スーパーはツケで買っていた)や家族の病気の話。また7度!?も出場したオリンピックでの感想等、どの様な経緯や環境で葛西選手がソチで銀メダルを獲得したかなどが紹介されています。

葛西選手は家族を、とりわけ母親を大切にしており、どれだけ親子の絆が深いのかを作品を通して教えてくれます。葛西選手が飛んでいるのは自分のこともさることながら、病気で容体が不安定で病院で闘っている妹を勇気づけるため、母親に金メダルを見せる為といった家族へのジャンプでもあったのです。

かなり生々しい話も載っていて長野五輪で団体で代表から外れた時は現場で見ていて「落ちろ!」と念じていた話なども紹介されています。

スキーは風に左右される運に翻弄されるスポーツでもあります。そして、葛西選手自身の人生も火事に巻き込まれた母親、オリンピック間近での所属企業の廃部など自分ではどうにもならない悲運に巻き込まれてしまいます。そしてその度に時に涙を流しながら乗り越えてきた葛西選手の生き様が最終的にソチでの銀メダルに繋がるのです。決して運や偶然でとった銀メダルではありません。

下川という人口五千人程の北海道の小さな町。この町がスキージャンパーを育て、この町の生んだ傑作が葛西選手であるとも言えます。そしてまた、一度は消えかけた下川のスキージャンプの灯を町全体で大切に守り、少年団を再生し、その結果新しく出てきた期待のジャンパーが伊藤有希選手であると言えます。

次は平昌オリンピック。葛西選手の8度目のオリンピックの出場と金メダルを願って、そして下川の若手選手とのオリンピックでの共演を願ってこの文章を終わらせたいと思います。フレー!フレー!葛西!!

(2015/04/04)

 

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